Microsoft の CIFS 仕様ライセンスで、Samba Team が声明

Microsoft の CIFS 仕様ライセンスで、Samba Team が声明

以下の文書は、

で参照可能な Samba Team の声明を翻訳したものです。
以下の翻訳文はあくまで参照の便を図って、日本Sambaユーザ会が独自に翻訳を行ったものであり、 Samba Team の正式な文書ではありません。

CIFS、Microsoft と Samba Team

 Microsoft によって最近公開されたドキュメントは、 特許およびライセンスの面で、Sambaコミュニティにいくばくかの関係があるものでした。 Samba Team は、Samba コミュニティに対し、 このドキュメントが Samba の利用や今後の開発に関して全く影響を及ぼさないことを、 再度保証したいと考えています。

 Microsoft のドキュメント は、CIFS プロトコルに関する情報を提供する技術ドキュメントに付属するライセンス契約書です。 CIFS プロトコル(SMB プロトコルとも呼ばれます)は、 Samba が、Microsoft のネットワーク関連の製品とのシームレスなファイル共有の相互接続性を提供するために実装している中核のプロトコルになります。

このドキュメントで発生した問題の中核は、以下のようなものです。

Samba コミュニティーに対して再度保証を行うために、各々の点について以下に説明します。


Microsoft の CIFS ドキュメントの利用

 CIFS/SMBプロトコルは、特にプロトコルの詳細に関するドキュメント化という点では、 長く困難な歴史をたどってきました。 Microsoft が最近公表したドキュメントは、 CIFS プロトコルについて既に公開されている情報に何ら付加していません。 Microsoft が 既に公開されているドキュメントで容易に入手できる情報に対して、 一般的でないライセンス条項を用いてこのような制限を加える方向に動いたということは、 全くもって不可解です。

 CIFS/SMB プロトコルに関して、より詳細で網羅的な情報を入手したい方々に対して、 Samba Team としては、最近リリースされた SNIA CIFS ドキュメント を推奨します。このドキュメントは業界内の連係によって開発されてきたものです。


CIFS と特許

 ライセンス契約書の文面で、Microsoft は CIFS/SMB プロトコルに関連する二つの特許について言及しています。 ここでは、これらの特許に対して特許使用料なしでのライセンスを行っていますが、 GNU 一般公有ライセンスで配布されるフリーソフトウェアについては、特別にこの特許使用料なしのライセンスから除外しています。

 Samba がこれらの特許を利用した方式を実装する必要があると誤解している人がいるようですが、 実際のところ、これらの特許に記載されている方式は、 Samba のような UNIX/POSIX な CIFS の実装においては、全く不適切なものであり、 可搬性のある POSIX アプリケーションにおいては、これらの特許で記載されている方式を実装することすら不可能なものです。 その代わりに、Samba は SMBreadbraw と SMBwritebraw というプロトコルの要素について、他の CIFS/SMB プロトコルの要素と全く同じ実装を行っています。 これは、Samba はこれらの特許と全く無関係であるということに他なりません。

 さらに、我々は、これらの特許が関連するのは Microsoft 自身がずっと昔に自社製品での利用を止めている、 CIFS/SMB プロトコルの陳腐化したセクションであるという点を指摘したいと考えます。 Microsoft は、CIFS に定義されているこれらの「raw」操作について、基本設計に致命的な欠陥があるため、利用を止めています。


Samba と GNU 一般公有ライセンス

 GNU 一般公有ライセンスは、Samba の開発に非常に適したモデルであると認識しています。 Microsoft が、自身のライセンスに関するドキュメント中で「知的財産の侵害」として GPL を称している一方で、 現実として、GPL は非常に高品質な CIFS/SMB の実装の開発を促進する上で非常に適した方式であると考えています。 知的財産の「侵害」とはうらはらに、 Samba Team は、 GPL の配布規定が、Samba ユーザと Samba の技術を用いてさまざまな製品を開発した多くの成功した会社の双方の利益となった、高いレベルの業界内の連係を促進する環境を提供したと確信しています。

 Samba Team は、 Microsoft のネットワーク関連の製品とシームレスに相互接続が行える、 エンタープライズにおけるファイル、プリントサービスのソリューションのさらなる発展と開発を継続するため、 GNU GPL の利用を継続して行っていく考えです。