Name

vfs_shadow_copy2 — Windows クライアントにスナップショットをシャドウコピーとして見せる

Synopsis

vfs objects = shadow_copy2

説明

この VFS モジュールは samba(7) システムの一部である。

vfs_shadow_copy2 VFS モジュールは Microsoft のシャドウコピーサービスと似た機能を提供する。 適切に設定されると、このモジュールにより Microsoft シャドウコピークライアントから Samba の共有上にある "シャドウコピー" を参照できるようになる。

これはシャドウコピーの第2版となるモジュールである。 このバージョンでは以下の機能を持つ:

  1. あなたの共有をシンボリックリンクを使って スナップショットに向ける必要がない。これは数千個の共有があったり [homes] を使ったりする場合にとても重要なことである。

  2. それぞれのファイルの inode 番号は変更され、 オリジナルのものとは異なる。これにより「リストア」ボタンを 押した際に共有が壊れたりすることがなくなる。

このモジュールはスタック可能である。

設定

vfs_shadow_copy2は、ファイルシステムが スナップショットを実装していることを前提にしている。 一般的なファイルシステムの多くが標準でこれをサポートしている。

vfs_shadow_copy2が認識できるように、 ファイルシステムのスナップショットが特定の名称のディレクトリにマウント されている必要がある。スナップショットのマウントポイントは 共有ディレクトリの直下でなければならない。

スナップショットの名前形式は @GMT-YYYY.MM.DD-hh.mm.ss となる。 それぞれ

  • YYYYは4桁の年

  • MMは2桁の月

  • DDは2桁の日

  • hhは2桁の時

  • mm>は2桁の分

  • ss>は2桁の秒

で指定する。

vfs_shadow_copy2のスナップショットの名前形式は、 以下のdate(1)コマンドで生成できる:

	TZ=GMT date +@GMT-%Y.%m.%d-%H.%M.%S
	

オプション

shadow:snapdir = SNAPDIR

スナップショットがあるディレクトリへのパス。

shadow:basedir = BASEDIR

スナップショットが参照するベースディレクトリへのパス。

shadow:sort = asc/desc, あるいは指定しないことで整列しない(既定値)

このパラメーターにより、シャドウコピーディレクトリを、クライアントに 送信する前に、整列させる事を指定することが出来る。これは、unixファイル システムが、通常アルファベット順に整列されないで表示されるのに対して 便利である。もしも有効にする場合には、通常降順を指定することになる だろう。

shadow:localtime = yes/no

これは補助的なパラメーターで、スナップショットの名前をUTC/GMT か、ローカル時間にするかを指示する。既定値では、UTCが使われる。

shadow:format = スナップショット名のフォーマット指定

これは補助的なパラメーターで、スナップショットの名前を決めるための フォーマットを指定する。フォーマットはstr[fp]timeによって認識される 変換形式と互換がなければならない。既定値は、 "@GMT-%Y.%m.%d-%H.%M.%S"である。

shadow:fixinodes = yes/no

shadow:fixinodes が有効の場合、このモジュールはスナップショット中のそれぞれの ファイルの見かけの inode 番号を、そのファイルのパスのハッシュ値で 修正する。これは(たとえば GPFS のスナップショットのように) スナップショットがオリジナルのファイルと同じデバイス名+ inode 番号を持つ場合に必要となる。(訳注:そのようなシステムにおいて) このオプションを設定しないでシャドウコピー UI の「リストア」 ボタンを押すと、共有違反で失敗してしまう。

shadow:snapdirseverywhere = yes/no

もしも shadow:snapdirseverywhere を有効にした場合、 このモジュールは、現在のワーキングディレクトリに対する、 現在およびすべての上位ディレクトリのスナップショットディレクトリ の外部を扱う。たとえば、これが必要なところは、IBMのGPFS中で 独立したファイルセットであるが、その他のファイルシステムと同様、 ファイルシステム中における特定のサブディレクトリのみを スナップショットすることをサポートする場合がある。

If you enable shadow:snapdirseverywhere then this module will look out for snapshot directories in the current and all parent directories of the current working directory. An example where this is needed are independent filesets in IBM's GPFS, but other filesystems might support snapshotting only particular subtrees of the filesystem as well.

設定例

ユーザーのホームディレクトリでシャドウコピーをサポートするには 以下の設定を行なう:

    [homes]
	vfs objects = shadow_copy2
	shadow:snapdir = /data/snapshots
	shadow:basedir = /data/home
        shadow:sort = desc

警告

これはバックアップでも、アーカイブでも、バージョン管理のための 機能でもないことに注意。

Samba と Windows の双方において、vfs_shadow_copy2 はエンドユーザーのための機能として設計されている。これはバックアップや アーカイ機能を代替、もしくは拡張するものではないので、そのような認識 は禁物である。バージョン管理機能が必要であれば、バージョン管理機能を 実装する必要がある。

バージョン

このマニュアルページは Samba システムのバージョン3.2.7(訳注:4.x?) に適合する。

著者

オリジナルの Samba ソフトウェアと関連するユーティリティは、Andrew Tridgell によって作成された。現在 Samba は Samba Team に よって、Linuxカーネルの開発と同様にオープンソースプロジェクト として開発が行なわれている。

日本語訳

このマニュアルページは Samba 4.0.0 - 4.0.14 に対応する。

このドキュメントの Samba 3.2.4 - 4.0.14 対応の翻訳は

  • 堀田 倫英(hotta@net-newbie.com)

  • 太田俊哉(ribbon@samba.gr.jp)

によって行なわれた。