名前

idmap_autorid — Samba の Winbind 用 idmap_autoridバックエンド

説明

idmap_autoridバックエンドは、idmap_tdbよりもより決定論的な、UID/GID と SIDをマップするためのアルゴリズムによるマッピング方法を提供し、idmap_rid よりもより簡単に設定できる。

モジュールはidmap_ridと同じように動作するが、各ドメインに対して使われる レンジを自動的に設定するので、フォレスト中の各ドメインに対しては、 特定のレンジを指定する必要がなく、唯一設定できる項目は、 user/groupマッピングのために使われることができるuid/gidのレンジと、 オプションの、レンジのサイズである。

ドメインのマッピングはレンジにマップされ、それはautorid.tdbに 格納されるので、このデータベースを常時バックアップする必要がある。

アルゴリズムによって処理が行われるので、このモジュールは、 最小の設定のみで、もっとも簡単に使うことが出来る。

IDMAP オプション

range = low - high

バックエンドが権威を持つ有効な uid と gid に一致する範囲を 定義する。レンジはフィルタとして振る舞うことに注意。 もしも、アルゴリズム的に決定された UID 又は GID がレンジ外に なると、それらは無視され、対応するマップは破棄される。 これは、ローカルとリモートで定義された ID の間で偶然に UID/GID が重なってしまうことを防ぐ方法として用意されている。

rangesize = numberofidsperdomain

ドメインレンジ毎のuid/gidの有効範囲を定義する。最小値は2000 である。この値より大きいRIDを伴うSIDは、有効レンジ数に依存する 拡張レンジにマップされる。もしも、autoridバックエンドが、 有効レンジ外で動作している場合、新しいドメインに対する マップ要求(あるいはすでに存在するドメインに対する新しい 拡張レンジ)は、無視され、対応するマップは破棄される。

例: レンジサイズが10000に設定され、RIDが10000までの users/groupsは、ドメインの最初のレンジに配置される。 RIDが25000のオブジェクトをマップしようとする場合、 拡張レンジが割り当てられ、20000-29999までのすべてのRIDを マップするのに使われる。

1つのレンジはローカルユーザーとグループ用と、Everyone (S-1-1-0) あるいは Creator Owner (S-1-3-0) のような、非ドメインで、よく使われる SIDに使われる。選択されたよく使われるSIDのリストは、それらのマッピングを 作成する時に、最初に事前割り当てされる。

それゆえ、作成出来るローカルユーザーとグループの数は、このオプションに よって制限される。もしも、ローカルユーザーとグループを大量に作る計画が あるならば、このパラメーターを適切に設定する必要がある。

既定値は 100000である。

read only = [ yes | no ]

モジュールをリードオンリモードにする。idmap poolには、 新規のレンジを割り当てる事も、新しいマッピングを作成する事も できない。既定値は no である。

マッピング作成方法

RID用の Unix ID は以下の方法で計算される:

		  ID =  REDUCED RID + IDMAP RANGE LOW VALUE + RANGE NUMBER * RANGE SIZE
		

ここで、REDUCED RID = RID % RANGE_SIZE で、 DOMAIN RANGE INDEX = RID / RANGE_SIZE はドメインのsidと共に、 RANGE NUMBER(データベースに格納される)を決めるのに使われる。

同じように、与えられた Unix ID のための RID 計算方式は 以下のようになる:

			RID = (ID - LOW ID) % RANGE SIZE + DOMAIN RANGE INDEX * RANGE SIZE
		

ここで、DOMAIN RANGE INDEX は RANGE NUMBER = (ID - LOW ID) / RANGE SIZE によるドメインsidといっしょにデータベースから検索される。

設定例

この例はプリンシパルドメインと19の信頼されたドメイン / レンジ拡張 のために 動作する最低限の設定例である。

	[global]
	security = ads
	workgroup = CUSTOMER
	realm = CUSTOMER.COM

        idmap config * : backend = autorid
        idmap config * : range = 1000000-1999999

	

この例は、大量のユーザーが存在しうるすべてのドメインと、それに 加えて、SFUマッピング方法を使う信頼されたドメインのための 特定の設定のために、既定値としてidmap_autoridを設定する方法を 示す。idmapレンジとsfuレンジはオーバーラップが許されない 事に注意してほしい。

	[global]
	security = ads
	workgroup = CUSTOMER
	realm = CUSTOMER.COM

        idmap config * : backend = autorid
        idmap config * : range = 1000000-19999999
	autorid:rangesize = 1000000

	idmap config TRUSTED : backend  = ad
	idmap config TRUSTED : range    = 50000 - 99999
	autorid:rangesize = 1000000
	

著者

オリジナルの Samba ソフトウェアと関連ユーティリティは、Andrew Tridgell により書かれた。Samba は現在 Samba チームの元で、Linux のカーネルと 同様にオープンソースソフトウェアとして開発されている。

日本語訳

このマニュアルページは Samba 4.4.0 - 4.11.1 に対応する。

このドキュメントの翻訳は

  • 太田俊哉(ribbon@samba.gr.jp)

によって行なわれた。