名前

smbcontrol — smbd、nmbd または winbindd のプロセスにメッセージを送信する

書式

smbcontrol [-s] [-t|--timeout]

smbcontrol [destination] [message-type] [parameter]

説明

このツールは Samba(7) システムの一部である。

smbcontrol は動作中の smbd(8)nmbd(8)winbindd(8) デーモンにメッセージを送る、 とても小さなプログラムである。

オプション

-?|--help

コマンドラインオプションの要約を表示する。

--usage

簡単な使用法を表示する。

-d|--debuglevel=level

level は0から10までの整数値である。 既定値の値は、パラメーターが設定されていなければ1である。

この値を大きくするほど、サーバーの動作に関するより詳細な情報が ログファイルに記録される。レベル 0 では、致命的なエラーと重大な警告 のみが記録される。レベル 1 は日々の運用に適しており、少量の稼働状況 に関する情報を生成する。

1 より上のレベルは大量のログが生成されるので、問題解決の時にのみ 使用すべきである。 3 より上のレベルは開発者だけが利用するように設計されて おり、莫大な量のログデータが生成される。そのほとんどは非常に謎めいた内容 となっている

このパラメーターの指定は、smb.confファイル中の、 log level パラメーターの 指定よりも優先する事に注意。

-V|--version

プログラムのバージョン番号を表示する。

-s|--configfile=<configuration file>

サーバーが必要とする詳細な設定を含む設定ファイルを 指定する。このファイルには、サーバーが提供するサービスに関する記述や、 どの printcap ファイルを利用するかといった情報が含まれている。詳細は smb.conf を参照のこと。設定ファイルの名前の既定値は、コンパイル時 に決定される。

-l|--log-basename=logdirectory

ログ/デバッグファイルのファイル名。拡張子として ".progname" が追加される(例えば log.smbclient, log.smbd,など)。ログファイルはクライアントによって削除されることはない。

--option=<name>=<value>

コマンドラインから smb.conf(5) オプション "<name>" に値 "<value>" を設定。 これはコンパイル時の既定値と設定ファイルから読み込まれたオプションを上書きする。

-t|--timeout

秒単位のタイムアウト値を設定。

destination

nmbdsmbdwinbindd かプロセス ID のどれか。

distinationに all を指定すると、 nmbd と winbind を含む、動いているデーモンすべてに、"ブロードキャスト" でメッセージを送る。これは、Samba 3.3 から変更になり、それ以前 では、smbd がこのパラメーターを使う。

destination に smbd を指定すると smbd.pid ファイルで指定された smbd デーモンに メッセージが送られる。

destination に nmbd を指定すると nmbd.pid ファイルで指定されている nmbd デーモンに対してメッセージが送られる。

destination に winbindd を指定すると winbindd.pid ファイルで指定されている winbindd デーモンに対してメッセージが送られる。

もし単一のプロセス ID が与えられたときは、メッセージは その 1 つのプロセスにのみ送られる。

message-type

メッセージの種類を指定する。詳細は MESSAGE-TYPES を参照のこと。

parameters

メッセージの種類によって必要なパラメーター。

MESSAGE-TYPES

使用可能なメッセージの種類:

close-share

smbd に対し、指名した共有に接続しているクライアントの 接続を閉じるように命令する。これはクライアントの他の共有への接続には 影響を与えないことに注意。このメッセージタイプはクライアント接続を 閉じたい共有名か、開いている共有をすべて切断する "*" を引数として 取る。これは、共有のアクセスコントロールを変更したときに便利である。 このメッセージは smbd にのみ送ることができる。

close-denied-share

close-shareのように動作するが、 引き続き共有にアクセス出来るユーザをディスコネクトしない。 これは、共有のアクセス制御を変更した後に、すべての smbd に安全に送信できる。 これは、最初に接続したときからアクセスを拒否されているユーザにのみ影響する。 このメッセージはsmbdのみに送ることができる。

close-denied-share

close-shareと同様だが、 共有へのアクセスが引き続き許可されているユーザには切断をしない。 これにより、共有アクセス制御を変更後にすべての smbd に安全に送信できる。 これは、最初に接続した時にアクセスを拒否していたユーザにのみ影響する。 このメッセージはsmbdにのみ送ることができる。

debug

メッセージはデバッグレベルを parameter で指定された値に設定する。このメッセージはどの destination に対しても送信できる。smbd デーモンまたは winbindd デーモンに メッセージが送信された場合、親プロセスは子プロセスすべてに メッセージをブロードキャストして、それぞれのデバッグレベルを変更する。

kill-client-ip

smbd に、与えられた IP アドレスからの、クライアント接続をクローズ させる。このメッセージタイプには、クローズすべきクライアント接続からの IP アドレスを引数として必要とする。このメッセージは、 smbd のみに送ることが出来る。

force-election

このメッセージは nmbd デーモンに新たにマスターブラウザーの選定を始めさせる。

ping

メッセージは parameter で指定された数だけの "ping" メッセージを送信し、同じ数だけの "pong" メッセージの応答を待つ。 このメッセージはどの destination に対しても 送信できる。

profile

メッセージはデーモンに parameter に基づいた profile の設定に変更するメッセージを送信する。 parameter に "on" を指定すると profile stats の収集が有効となり、"off" を指定すると profile stats の収集が無効となり、"count" を指定すると count stats の収集のみが 有効となり(time stats は無効)、また、"flush" を指定したときは現在の profile stats をゼロにする。 このメッセージはどの smbd および nmbd にも送信できる。

debuglevel

メッセージはデーモンの "debuglevel" を問い合わせる メッセージを送信し、それを STDOUT に出力する。このメッセージはどの destination に対しても送信できる。

profilelevel

メッセージはデーモンの "profile" を問い合わせる メッセージを送信し、それを STDOUT に出力する。このメッセージはどの smbd および nmbd のデーモンに対しても送信することができる。

printnotify

メッセージはプリンターに接続しているすべての Windows NT クライアントへ printer notify message を送信する。このメッセージには 以下の引数を渡すことができる:

queuepause printername

指定したプリンターに対し、queue pause change notify メッセージを送信する。

queueresume printername

指定したプリンターに対し、queue resume change notify メッセージを送信する。

jobpause printername unixjobid

指定したプリンターと UNIX の jobid に対し、job pause change notify メッセージを送信する。

jobresume printername unixjobid

指定したプリンターと UNIX の jobid に対し、job resume change notify メッセージを送信する。

jobdelete printername unixjobid

指定したプリンターと UNIX の jobid に対し、job delete change notify メッセージを送信する。

このメッセージはイベントが起こったと通知するだけである。 実際にイベントを起こすわけではない。

このメッセージは smbd に対してのみ 送信できる。

dmalloc-mark

dmalloc のマークをセットする。smbd と nmbd の両方に対して送信することができる。Samba の dmalloc サポートが有効になった状態でビルドされた場合にのみ使用できる。

dmalloc-log-changed

dmalloc-mark によってマークされた時点以降で、変更のあったポインターを ダンプする。smbd と nmbd の両方に対して送信することができる。 Samba の dmalloc サポートが有効になった状態でビルドされた場合にのみ 使用できる。

shutdown

指定されたデーモンを落とすことができる。 smbd と nmbd の両方に対して送信することができる。

pool-usage

指定されたデーモン/プロセスの talloc(pool) memory usage を、人間に読み取り可能な状態で表示する。smbd と nmbd の両方に 対して使用できる。

ringbuf-log

ringbuf ログを取得して表示する。logging = ringbuf であることが必要。smbd、winbindd、nmbd に対して 使用できる。

drvupgrade

特定のドライバーを使用しているプリンターのクライアントに 対し、ローカルのドライバーをアップデートするように強制する。 smbd に対してのみ送信することができる。

reload-config

デーモンに smb.conf 設定ファイルの再読み込みを 強制させる。smbdnmbdwinbindd に対して送信することができる。

reload-printers

smbdにプリンターの再読込みを強制させる。smbd のみに送信できる。

idmap

id マッピングの変更について通知する。smbd か (まだ未実装だが)winbindd に送ることが出来る。

num-children

smbd チャイルドプロセスの数を問い合わせる。 このメッセージは、smbd のみに送ることが出来る。

バージョン

このマニュアルページは Samba バージョン 4.13.2 用である。

関連項目

nmbd(8)smbd(8)

著者

オリジナルの Samba ソフトウェアと関連ユーティリティは、 Andrew Tridgell によって作成された。 現在 Samba は、Samba Team によって Linux カーネルの 開発と同様に、オープンソースプロジェクトとして 開発されている。

日本語訳

このマニュアルページは Samba 4.6.2 - 4.13.2 に対応する。

このドキュメントの Samba 3.2.4 - 3.6.9 対応の翻訳は

  • 太田俊哉 (ribbon@samba.gr.jp)

  • はせがわ ようすけ

  • 山田 史朗 (shiro@miraclelinux.com)

によって行なわれた。

このドキュメントの Samba 3.6.10 - 4.13.2 対応の翻訳は

  • 太田俊哉(ribbon@samba.gr.jp)

  • matsuand(michio_matsuyama@yahoo.co.jp)

によって行われた。