表紙について

この本の表紙にはオフィシャルSamba-3 HOWTOとリファレンスガイド 初版の「自由(freedom)」のテーマを踏襲している。先駆者人たちの行動の源泉 を問いかけることで過去を振り返ってもよいだろう。過去から何も得られないとい うことはまずあり得ない。我々の前に人生を歩んだ彼らの業に思いを馳せるか どうかに関わらず、我々の自由を護った彼らに対する誇りと感謝の念を忘れる ことがあってはならない。

情報テクノロジーの進化は、恐怖を抱かせるペースで進んでいる。時代の要求に 応えるかに見える進化を受け入れてきたのが人間の本性であるが、これは将来 の我々を罠にかけることにもなりかねない。情報テクノロジーの短い歴史の中 にすら、多くの実例がある。かつて MS-DOS は、我々を大型コンピューターのシ ステムを運用するコストから解放し、今日我々が享受している急速な発展を可 能としたツールと見なされていた。しかし、今日我々は、時代遅れで忘れたい 時代に束縛する技術として、侮蔑の念を以て MS-DOS を振り返っている。

Windows ネットワーク、Windows NT 4.0、近年の Active Directory と続く発 展は、今でこそ時代の先端を進んでいるように見えかも知れないが、遅かれ早 かれ、より優れたものに取って替わられる運命にある。拡張された認証情報ソ リューションやディレクトリに対する近年の注目は、想定外の事態ではない。 これらの技術が脚光を浴びる一方で、現在活気があり、力強いように見えてい たものが夜の冷たい風(the chilly wind of the night)のように扱われる日が きっとくる。何が待ち受けていようとも、進歩に逆らうことは考えられない。

Samba の開発は着々と行われている。Samba 3.0.0 からの変貌は驚くべきもの であるが、より高度でかつ迅速な進化が多くの人々から求められている。 近年の開発の成果はすぐに目に見える形で表れているが、それでもパンドラの 箱を開けるのにドキュメントが必要である。ネットワーク管理者が最小の手間 で新しい機能を迅速に導入する上で、本書がなんらかの助けになれば幸いであ る。導入を推進し、新しく実現する機能により得られたメリット(直訳:マイ レージが稼げる)を通じて、前途に待ち受けている世界に思いを馳せてほしい。 とりわけ、Samba がもたらした選択の自由を味わい、シームレスな相互接続性 がもたらす可能性を楽しんでほしい。