第41章 Samba サポート

目次

無償サポート
商用サポート

IT業界におけるもっとも回答が難しい質問のひとつがサポートとは何か である。この質問を受けた人々はイライラし、その回答を受けた人々も大 抵同じくらいイライラするだろう。

サポートにつきものであるもっともイライラする象徴的な状況は、Linux ユーザーが インターネットサービスプロバイダーに電話したときに(解決策を探そうと、問題に ついて耳を傾けるかわりに)「ああ、Linuxですか。Linux はサポートして おりません。」と、素っ気なく返答された場合だ。これは私が経験したこ とであり、似た状況はIT業界の至る所で起きている。あるビジネスにとってただ相 手にしたくない顧客がいくらか存在するということを私たちに知らせることをこの ような回答は意図している。私たちは拒否されたことに激しい痛みを感じるだろう。

サポートについて深く考える一つの方法は、状況のいかんにかかわらず、正しい回 答、正しい場所、正しいタイミングによって構成されるという見方をすることであ る。苦労、混乱、不便、生産性の低下、不確実性そして実在するリスクまたは知覚 リスクを取り除くことがサポートのすべてである。

ある事実が、オープンソースソフトウェアを採用する駆動力の一つになっている。 おそらく多くのITビジネスが提供しているサービスは、顧客の期待にそえられない か、その他の理由により十分でなかった。

ITユーザーまたは消費者が期待する最初の経験のときのニーズを満たす必要性を認 めて、この章では問題解決に関する不愉快な経験を避けるのに役立つ情報を提供す る。

オープンソースの分野ではサポートに2つの選択肢がある。無償サポートと有償(商 用)サポートである。

無償サポート

無償サポートは、友人、同僚、ユーザーグループ、メーリングリスト、対話的な ヘルプファシリティーから得られる。対話的なヘルプファシリティーの一例にユ ーザー同士での支援の場所を設けるIRC(Internet relay chat)チャネルがある。

Samba プロジェクトではSamba をデプロイする方法を議論するメーリング リストを維持してきた。Samba メーリングリストへの参加申し込みについ ての情報は、 Samba ウェブサイト にある。無償で利用できる、ユーザーの貢献による 公共のメーリングリストのサポートは samba リスト と呼ばれている。リストへの email アドレスは mail:samba@lists.samba.orgである。Samba IRC チャネルについての情 報は Samba IRC ウェブページにある。

一般的なルールとして、Samba チームメンバーに直接無償のサポートを求 めて連絡をするのはお粗末な作法である。Samba チームのアクティブなメ ンバーのほとんどは、要件を満たすことが立証された問題をサポートする ために大変長い時間働いている。Samba チームのメンバーは対価を受けと ることで、直接メールや電話でのサポートの連絡を受けている。何人かの Samba チームメンバーは、実際に有償の 専門的な Samba サポートを提供 している。

Samba のバグに遭遇した場合、大抵において解決するもっとも早い方法は レポートを投稿する ことである。すべてのレポートは責任あるコードメインテナーにアクショ ンを起こさせるためにメールされる。レポートがよく書かれていたり、そ の問題が深刻であれば、より早く扱われるだろう。一方では、メインテナ ーがレポートされたバグを再現できない場合は、却下されると思われる。 再現できるほど十分な情報を提供することはレポートする人の責任である。

無償サポートでは、要求された期限の中では解決策を提供できないことが あることを承知している。他方で問題が理解しにくく、問題を切り分ける たりひいては解決をするのに必要な経験に欠けているような場合がある。 そういう場合は有償サポートを購入することが賢明だろう。

商用サポート

Samba サイトにてありふれて見られるサービス指向の基本的なサポートが 以下の6つである。

  • ネットワーク設計の補助

  • スタッフトレーニング

  • Samba ネットワークの配置と導入の補助

  • Samba 設定の優先的な電話やメールによる補助

  • トラブルシューティングと診断の補助

  • 品質が保証され、インストールする準備ができ ている (ready-to-install) Samba バイナリパッケージの提供

Samba の専門的なサポートを提供する会社についての情報は、Google 検索 や、Samba Support ウェブページでも入手できる。Samba チームへ商用サポ ートの提供を知らせた会社は、国別で整列されたリストに載せている。リ ストの記載について重複が認められているが、保証は提供されない。サポ ート会社の選定や会社とその従業員は要求されることを提供することが出 来るということに納得することは利用者次第である。

Samba チームのポリシーは、すべてのサポート会社を等しく扱うことと好 みを提示しないこと。結果として商用サポートを提供している Samba チー ムのメンバーもその他と一緒くたにされている。地元の会社から必要なサ ービスを得るように奨励する。オープンソースムーブメントはプロの団体 です。 だから、できることをして地元の企業が成功するのを助けて欲しい。

オープンソースソフトウェアのサポートはいかなる品質、費用、場所でも 得ることができる。世界中で180社以上が Samba のサポートを提供してい る。Samba がサポートされないソフトウェアという誤った信念に苦しむ理 由はない。 Samba はサポートされている。