Name

samba-dcerpcd — これは、Samba の DCERPC サーバプロセスの1つで、 RPC サービスが提供されているソケットをリッスンすることができ、 Samba が呼び出す DCERPC サービスの親プロセスである。別個に呼び出され ない限り、要求に応じて smbd または winbind から呼び出され、名前付きパイプ (np) 上で だけヘルパープロセスとして DCERPC 機能を提供する。起動スクリプトを 変更しない限り、ほとんどのインストール(スタンドアロン/メンバーサーバ/ AD サーバ)では、これが標準設定になる。Samba が Active Directory ドメイン コントローラとして設定されている場合は smbd を起動する samba プロセスは、通常の DCERPC サービスを提供するが、 samba-dcerpcd ではないことに注意。システム起動 スクリプトまたはデーモンによって個別に呼び出される場合は、global の smb.conf オプション rpc start on demand helpers = falsesamba-dcerpcd がスタンドアロンで起動することを許可する ように設定する必要がある。

Synopsis

samba-dcerpcd [-D|--daemon] [-i|--interactive] [-F|--foreground] [--no-process-group] [-d <debug level>] [--debug-stdout] [--configfile=<configuration file>] [--option=<name>=<value>] [--leak-report] [--leak-report-full] [-V|--version] [--libexec-rpcds] [--np-helper] [--ready-signal-fd=<fd>] [<SERVICE_1>] [<SERVICE_2>] [<...>]

説明

このツールは samba(7) システムの一部である。

samba-dcerpcd は2つの方法で使用できる。起動スクリプトの変更および global smb.conf オプションを指定しない通常の場合と、 rpc start on demand helpers = true が 設定されている(デフォルト設定)場合は、smbd または winbind --np-helper を含むコマンドラインを 使用して、名前付きパイプ (np) 上でDCERPC 機能を提供する。また、 スタンドアロンモードでも使用できる。スタンドアロンモードでは smbd または winbind とは別に、 システム起動スクリプトを使用して起動する。スタンドアロンデーモンと して起動した場合、またはシステム起動スクリプトから起動した場合は、 global smb.confオプション rpc start on demand helpers = false を falseに設定する必要がある。global smb.confオプション rpc start on demand helpers = true は trueに設定されるか、既定のままの場合は samba-dcerpcd は起動に失敗し、エラーメッセージが 記録される。

Samba が Active Directory ドメインコントローラモードで実行されている場合は、 samba AD コードは通常の DCERPC サービスを提供するが、 samba-dcerpcd は smbd がこの構成では使用していたのと 同等の、SRVSVC のようなサービスを提供できることに注意。

スタンドアロンモードは、Samba フレームワーク以外で使用する場合にも 便利である。たとえば、Linux カーネルの SMB2 サーバ ksmbd や、 場合によってはその他の SMB2 サーバ実装での使用などである。 このモードでは、inetd のように振る舞い、RPC サーバー実装の代わりに ソケットをリッスンする。

クライアントが接続すると samba-dcerpcd は、 必要に応じて関連する RPC サービスバイナリを起動し、そのサービスへ 接続を渡す。RPC サービスがしばらくアイドル状態の場合は、 samba-dcerpcd 再びシャットダウンするように要求する。

オプション

-D|--daemon

このパラメーターを指定すると、サーバーは デーモンとして動作する。つまり、それ自身を切り離して バックグラウンドで実行し、適切なポートで要求を処理する。 サーバをデーモンとして動作させることは samba-dcerpcd Sambaフレームワーク以外の ものである。しかし、システム起動スクリプトを使用して起動する ように構成されている場合は、メンバーサーバー用の Samba 内で この方法で使用することもできる。このスイッチは、 samba-dcerpcd がシェルのコマンド行で実行 されることを念頭に置いている。

-i|--interactive

このパラメーターを指定すると、サーバーが シェルのコマンド行で実行される場合でも、サーバーはデーモンと してではなく「対話的に」実行される。このパラメータを設定すると、 コマンドラインから実行したときに暗黙的なデーモンモードが無効になる。 samba-dcerpcd は1つの接続だけを受け入れて終了する。 また、-S パラメータが与えられた場合には 標準出力にも記録される。

-F|--foreground

指定した場合、このパラメータはメインの samba-dcerpcdプロセスの デーモン化を行わない。 すなわち二重フォークと端末との関連付けを解除するプロセスをしない。 子プロセスは、各接続要求を処理するために通常どおり生成されるが、 メインプロセスは終了しない。この動作モードは、 Daniel J. Bernstein による daemontools パッケージの supervise および svscan あるいは AIX プロセス・モニタのような、 プロセス監視ツール配下で、samba-dcerpcdを 動かすのに適している。

--no-process-group

samba-dcerpcd 用に新しいプロセスグループを 作成しない。

--libexec-rpcds

Samba の LIBEXECDIR にあるすべてのデーモンに RPC サービスを提供する。"rpcd_"で始まるすべての プログラムは、RPCサービスを提供するものと見なす。 --libexec-rpcds オプションを使用しない場合、 コマンドラインで明示的にすべての RPC サービスヘルパーを 一覧表示できる。

--np-helper

samba-dcerpcd を、 smbd または winbind 用に名前付きパイプソケットを ヘルパーとして開くためにオンデマンドで実行する。 このモードで実行するには、global smb.confオプション rpc start on demand helpers = true を trueに設定する必要がある(これは既定の設定)。

--ready-signal-fd=<fd>

このfdを使用して、サービスの準備状況を smbdに報告する。内部使用のみ。

著者

オリジナルの Samba ソフトウェアと関連するユーティリティは、Andrew Tridgell によって作成された。現在 Samba は Samba Team に よって、Linux カーネルの開発と同様のオープンソースプロジェクト として開発が行なわれている。

日本語訳

このドキュメントは、Samba 4.16.0 - 4.17.0 に対応する。

このドキュメントの翻訳は

  • 太田俊哉 (ribbon@samba.gr.jp)

によって行なわれた。